クロシオガムシ

クロシオガムシ

Horelophopsis hanseni M.Sato & Yoshitomi,2004

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ガムシ科クロシオガムシ亜科に属し、汽水域にのみ生息するという特殊なガムシ。

河口というよりほぼ海岸で、浅瀬の石ころを転がしていると浮かんでくる。小さい波が打ち寄せ、微小な木片や砂粒が舞い上がる中、稀に2mm弱の昆虫らしきシルエットが見えて一気に胸が高鳴る。昆虫っぽい木片が浮いてくることも。 f:id:hydrotusk:20170530225356j:imageこの小ささで汽水域という特殊な生息環境、クロシオガムシは一部のガムシ愛好家にとっては特別な存在であり、憧れのガムシである。

ゴマダラチビゲンゴロウ

ゴマダラチビゲンゴロウ Oreodytes natrix (Sharp,1884)

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河川に生息する流水性のゲンゴロウ。体長は約3mm、上翅の模様が大きな特徴。

緩やかな流れのある水際で、砂利をかき混ぜると一瞬だけ現れ、すぐにまた砂利の隙間に隠れてしまう。

黒地に黄色や白の斑点模様は、流水性の水生昆虫でしばしば見られますよね。以前紹介したアマミコチビミズムシも。

スジヒラタガムシ

スジヒラタガムシ Helochares nipponicus Hebauer,1995

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抽水植物や浮遊植物の多い湿地で見られる。レッドデータでは準絶滅危惧に指定されているが、そこまで個体数が少ないわけではない印象。

体長は約4mm。ヒラタガムシ属ではなくスジヒラタガムシ属で、この仲間の大きな特徴として幼虫が孵化するまで卵嚢がメスの腹側にくっついている。

類似種という類似種はいないが、見た目に特徴もあまりないのでなんというか…。

アマミコチビミズムシ

アマミコチビミズムシ Micronecta japonica Chen,1960

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体長約2mmの奄美固有種。緩やかな流れのある水たまりにかなりの数がいた。近づくと一斉にざーっと逃げてしまうため、水中での撮影が難しい。

各齢幼虫も成虫とともに多数見られた。この種に限ったことではないが、幼虫は小判のような形をしている。

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また、背面にこのような綺麗な模様があるチビミズムシは南西諸島に多く、未記載種がいることもわかっている。下の写真は沖縄本島の渓流で見られた未記載種。

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ヒメタイコウチ

ヒメタイコウチ Nepa hoffmanni Esaki,1925

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日本国内では静岡愛知岐阜三重兵庫香川の6県のみから生息が確認されている。

湧水のある湿地の植物の根元でじっとしていることが多い。また、タイコウチ Laccotrephes japonensisとは異なり水中へ潜ることはなく、呼吸管が短い。そして翅はあるが飛翔能力を失っており、これは分布が局所的である要因と考えられる。

餌はクモやダンゴムシなどの土壌徘徊性無脊椎動物を捕食している。

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背面に泥を被っていることもあり、目が慣れるまでは見つけにくい。

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エサキアメンボ

エサキアメンボ Limnoporus esakii (Miyamoto,1958)

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ガマなどの抽水植物が多く茂った池で見られる。

体長は約1cmとやや小型だが、側縁の銀白色が美しくよく目立つため、見つけるのは難しくない。

全国的にも少ない種であり、茨城県においては絶滅危惧ⅠB類に指定されている。

セマルガムシ

セマルガムシ Coelostoma stultum (Walker,1858)

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春先から秋にかけて、水田や池の水際で泥や枯れ草をじっと見ていると見つかる。

湿ったところを好み、泳ぎが苦手というその暮らしぶりは水生ではなく"半"水生と言える。

梅雨の時期は卵嚢を作る瞬間にも立ち会うことができ、普段はゆっくりな彼らが手際よく卵嚢を紡ぎ上げる光景には驚かされる。

現在日本で記載されているセマルガムシ属はセマル、ヒメセマル、コガタセマル、ニセセマルの4種であり、本土でよく見られるセマルとヒメセマルは複眼の大きさで識別可能。

↓セマルガムシ頭部f:id:hydrotusk:20170418015435j:image↓ヒメセマルガムシ頭部f:id:hydrotusk:20170418015734j:image

コガタセマルは近年記載された種で、まだ見たことがない…見たい。